俺の父親は職人で無口でめっちゃ頑固
父親らしい気の利いた言葉一つかけてくれない人で
若い頃はそんな父を憎んでた時期もあったんよ
その頃の俺の理想の父親像、父の愛像は
大草原の家の小さな家のチャールズ・インガルスさんやったからね(笑)
父親ならこんな時こんな言葉をかけるんちゃうの
父親やったらこんな時はこんな風に接するもんちゃうのて
理想とあまりにかけ離れてる父から
父親の愛というものをあんま感じたことはなかった
やけどね
お父さんはずーっと働いてた
毎日汚れた作業着を着て早朝から出かけ
二回りも年の離れた若い現場監督に使われながら
毎日毎日一日も休まず一生懸命働いてた
ご飯を食べさせ服を着せ学校に行かせてくれた
気持ち良く眠れる布団とただいまと帰れる家を与えてくれた
今なら分かるんよ
あ~俺は大切に愛されてたんやなって
父親の愛とはこうあるべきこうするべきと
理想の父親像を勝手に描いて握りしめてた
昔の俺にはそれが分からなかっただけでね。
母親とは5歳の頃生き別れたからほとんど記憶もないし
お母さんという実感すら感じたこともなくてね
実の子どもと離ればなれになってよく平気でいられるなと
子どもの頃は母親の愛に疑問を感じてた時期もあった
その頃の俺の理想の母親像は
やっぱり大草原の小さな家のキャロライン・インガルスさんやったからね(笑)
お母さんていつも子どものそばにいて
あったかい言葉をかけてくれたり
寂しい時には抱きしめてくれたり
3時のおやつにはホットケーキを焼いてくれて
夜眠る時にはあったかい布団をかけてくれるもんやと思っとったから
そばにもいないお母さんから自分は愛されてるなんてとても思えなかったんよ
やけど2年前かな
20数年ぶりに会うことができたんよ
会える嬉しさと、やっぱり愛されてなかった
という現実を知りたくない不安いっぱいで
待ち合わせの喫茶店でお母さんを待ってた
お母さんはなんて言うんかな
どんな言葉をかけてくれるんかな
あれこれ想像しとったんやけど
20数年ぶりに会った母親が言った言葉は
大ちゃんご飯食べてるの?
第一声がこれやで(笑)
その時思ったんよ
あ~間違いなくこの人は俺のお母さんやって
40超えたおっちゃんのご飯のことを
心配してくれるのは世界でたった一人
お母さんだけなんよね
そばにいなくてもずっとお母さんやった
離れていても何歳になってもずっとずっと
子を想うただ一人の母でいてくれたんよね
父に対しても母に対しても
自分の描いた理想と照らし合わせては
自分は愛されている愛されてないを
勝手に俺は測ってたんよね
やから時々思うんよ
例えば奥さんに対して何か不満が芽生えたり
もっとこうしてほしいと要求したくなる時って
自分の妻像や愛像を握りしめては
こんな時は普通こうするんちゃうん
愛してるんならこうしてくれてもええやん
どっかでそんな風に勝手な自分の理想と
照らし合わせて見つめてはいないやろうかって
俺だって奥さんや娘にとって
理想の夫でも完璧な父親なわけでもないのにね
だからいつもね
愛のない人はいない
そう信じるようにしとるんよ
愛とは〇〇なんて定義や理想を握りしめたら
見えなくなるモノがいっぱいあるからね
人それぞれ愛の表現の仕方は違っていても
愛がない人はいない
そう信じるようにしとる
少なくともそれでしか
見えないモノもあるんやと思うわ
大
10月のたかしま家
テーマは『好き』
LIVEは10月27日
Web配信は11月1日