高島大『パパだってがんばってるもん』

 

いってらっしゃいの

見送り言葉もない日も

忙しいのかなとプラスに捉え

寂しさ堪え笑顔でいってきます

 

 

殺気立った満員電車に揺られ

押し潰されそうな人波にのまれ

月末の支払いに頭を抱え

上司の理不尽に頭を悩ませ

へこたれそうになった時

家族の顔を心に想い浮かべる

 

 

良いパパになりたくて

理想の夫になりたくて

 

 

仕事の顔持ち帰りたくない日

近所の公園で缶コーヒー飲み

フ~っと一息心リセットさせ

静かにドア開けラップチンして

お帰り聞けない寝顔見ながら

今日はどんな一日過ごしてたんだろと

毎晩想像するだけ

 

 

発表会に行くため有給を

残業増やしてやっと取り

ファインダー越しに見る

ママを見つめ歌う君の笑顔

 

 

運動会の場所取りするため

並んだ朝6時の正門前

ダッシュで取った席から撮るのは

誇らし気にママに手を振る君の勇姿

 

 

良いパパになりたくて

理想の夫になりたくて

 

 

久しぶり一緒に過ごせた休日

ベンチでアイス食べてる間に

荷物持って並んだアトラクションも

ママと一緒に乗るとピュアな言葉に

いいよと微笑み隣はポツンと空席で

 

 

深夜のアルバイトして

プレゼントしたピアノ

一番に聴かせたいのはいつもママで

いつの間に上達してた縄跳びに驚く土曜

いつも知るのは二番目だからかな

 

 

寂しい時や眠る時

ママがいいとグズる言葉に

無力感隠してそっかと微笑みバトンタッチ

 

 

カーネーションにお手紙

国民行事並に特別な母の日

そういえば今日は、、と

思い出された父の日

それでも

パパありがとうの言葉が

涙がでるほど嬉しくて

 

 

パパなんてそんなもんですよ

パパはそれでいいんですよ

愚痴一つ吐かないパパ友が

すごく大きく立派に見えて

弱音吐きそうになる自分が

すごく小さく情けなく思えて

 

 

趣味を持つのは寂しいからで

飲みに行くのは寂しいと言えないからで

いいよと笑むのは格好つけたいからで

そっかと笑うのは泣けないからで

仕事がんばるのは認められたいからで

アドバイスするのは必要とされたいからで

 

 

良いパパになりたくて

理想の夫になりたくて

 

 

わかってるんだ

働いて家族を養うのは

当たり前のことだということも

 

 

わかってるんだ

子どもの笑顔守り育てるのが大切な役割で

ママを支え幸せにするのが大切なことも

 

 

わかってるんだ

ママが一番大好きなことも

それで良いということも

 

 

ママの大変さ

ママのがんばり

ママの偉大さ

メディアやネットから

たくさん流れるママの賛歌

 

 

パパの未熟さ

パパへの不満

パパに望むこと

たくさん溢れるパパの愚痴

 

 

そっと閉じながら自分で呟く

パパだってがんばってるもん

 

 

パパだってもっと子育てしたくて

パパだってもっと家事もしたくて

パパだってもっと家族といたくて

 

 

一生懸命働いて家族を養えば

認められてた時代から

家事と育児も当たり前

求められるハードル上がった現代も

やりたくてもできない社会の仕組みと

働き方は改革進まず変わらず昔のままで

 

 

〇〇さん家のパパは~と

呟かれる悪気ない言葉に

悔しさ罪悪感感じながらも

笑ってごまかすのが精一杯で

 

 

少しでもとお皿洗えば

やり方違うとママ二度手間になり

ごめんと呟き拭こうとしたら

タオルとフキンも間違う始末で

 

 

良いパパと思ってほしくてなりたくて

理想の夫と思ってほしくてなりたくて

だけどやっぱりできなくてなれなくて

 

 

わかってるんだ

感謝尊敬求めるものじゃないことも

 

 

わかってるんだ

パパにはパパの役割があることも

尻にしかれるくらいがいいことも

嫌われていくのが健全なことも

 

 

わかってるんだ

勝手に一人で背負い込んで

勝手に一人でがんばりすぎて

勝手に一人で虚しくなって

 

 

わかってるんだ

認められたい

感謝されたい

尊敬されたい

心に滲む弱い自分は

 

 

良いパパである前に

理想の夫である前に

ただの一人の人間なんだと

 

 

わかってるんだ

ヒーローでもない

スーパーマンでもない

ただ愛する人想う強さと弱さ持つ

ただの一人の人間なんだと

 

 

良いパパになれなくてもいいかな?

理想の夫になれなくてもいいかな?

もうこの重たい鎧外してもいいかな?

 

 

良いパパだからがんばってるんじゃなくて

理想の夫だからがんばってるんじゃなくて

 

 

やがて手離れゆくその日のために

いつかいなくなっても大丈夫なよに

君とママの毎日に笑顔の花が咲くよに

俺は今日もがんばってるんだ。

 

 

 

真面目でがんばり屋さんで

家族想いだった天国の友へ捧ぐ

 

 

 

追記
アナザーストーリー

 

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